2007年1月アーカイブ

派手見せはしないが、世間通で、そのくせ働き者のトライアヌス帝の跡継ぎのハドリアヌスの元気盛んな頃が、この25巻。

もともとは、昔は有名だったが羽振りが効かなくなった名家で、父の早死のせいで、トライアヌスが代父となったのが、皇帝へ道が開けるもととなっているのだが、そこは働き者のトライアヌス、ハドリアヌスが青年になってからは、行政官やら兵役やら、あれこれ忙しい目をさせているから、あながち幸運ばかりではなくて、やはりハドリアヌスの才も秀でたものがあったのだろう。

おまけにトライアヌスの皇后にも気に入られていて、若々しくて(単に若いといったことではなくてエネルギッシュということだろうね)、頭脳明晰で野心家といった人だったらしいから、近くにいると、凡人なら熱気で煽られるか、洗脳されてしまうか、どっちかになってしまうタイプだろう。
途中、皇后サビーナの肖像がでてくるが、どちらかというと控えめそうで、こいつはハドリアヌスと合わないだろうねと、途中読み進めながら思った次第で、やはり夫婦仲はよそよそしかったらしい。

で、こういうちょっと派手派手しいのが、トライアヌスがパルティアの反乱平定中に病死するときに、次期皇帝に指名されたってのだから、これは本当にそんな経緯があったのか当時から胡散臭く思われていたらしい。でも、まあ、なんとなく後継者として認められてしまうあたりが、このハドリアヌスって男の才覚というか才能のなせる業なんだろうね。

さてさて、神格化どころではなく、暗殺されて記録抹殺刑になったドミティアヌスの後を受けたネルヴァ帝から帝位を受け継いで、「賢帝」の代表格でもあるトライアヌス帝を取り上げた一巻である。

ドミティアヌス帝ってのがどんなことをしたかってのは、記録抹殺刑に処せられたおかげで、はっきりと記されたものは残っていないようなのだが、どうも、この皇帝、馬鹿でも暴君でもなくって、それなりの切れ者だったらしいし、軍隊にも人気があったらしい。(元老院にはとんでもなく不人気で、それが暗殺の一因ともいわれているようだけど)

(しかし、この「記録抹殺刑」っていうのはすごいよね。その皇帝の記録や業績、肖像を全部なくしてしまうものらしい。歴史的にいなかったことにするからね・・・てなもので、国家的に「シカト」行為をするんだからなー。)


で、その後をついだ。年齢のいった人柄だけが取り柄みたいなネルヴァ帝に、ローマ本国ではなく属州生まれで軍隊経験も長く、下積みの苦労もよく知っている、ってなあたりで、トライアヌスは後継指名されたのかなってな感じである。ドミティアヌスが、育ちも才能もあって、おまけに自身満々の若僧ってな雰囲気をプンプンさせていたあたりが元老院が嫌った主因だろうから、その逆をいくだけで、少なくとも嫌われはしないよね、といった人選である。

トライアヌス自身も、皇帝になって初めてローマ入りを騎馬でなく徒歩でやるような地味目でもあるし、皇后も地味めだったらしいから、無理をしたってなわけでもなさそうなあたりが幸いしたっていうところか。

1

ウェブページ

にほんブログ村 トラコミュ 書評、レビューへ
書評、レビュー
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
Powered by Movable Type 5.04

このアーカイブについて

このページには、2007年1月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2006年12月です。

次のアーカイブは2007年2月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。