2008年7月アーカイブ

古代ローマの賢帝の中でも、極めつけの賢帝と評価のある哲人皇帝 マルクス・アウレリウスの登場である。

といっても、この巻の最初は、誕生から前の皇帝であるアントニヌス・ピウスの「長い」次期皇帝(皇太子)時代が続く。
この「次期皇帝」時代の印象は、激情家ではなく非常に穏やかで、騒がしいことの嫌いな、前皇帝のもとで、すくすくと(表現としては適当でないかもしれないが、子供の成長の一つの姿を現す、この言葉がぴったりくるんですよね)皇帝修行をしている、「恵まれた若旦那さん」的な暮らしである。

マルクス・アウレリウスといえば、「自省録」など、哲学者の面も有名なのだが、かなりの独裁者で帝国内を飛び歩いているハドリアヌスにかわって統治の責任者を務めているといってもいいヴェルスの孫として、若い頃からかなりの優遇を受け(本書の途中にトラヤヌスからマルクス・アウレリウスまでの執政官などへの就任年齢を比較した表があるのだが、マルクスはやけに若くして就任しているものばかりなのだ)、また、財産もある。そうした若旦那的な生活スタイルが、哲学におぼれさせる一因でもあったのではないか、とも思う次第である。
しかも、ピウスの方針だったのかもしれないが、次期皇帝に指名される前も後も、辺境の地で軍務に就くという経歴もなく、さしずめ、お金持ちで名門のシティボーイといった暮らしを、皇帝就任まで続けることができたということは、それはそれで幸運なことではある。

ローマ帝国のインフラを描いた巻の下巻が本書。

とりあげられるのは

ハードなインフラとして、水道

ソフトなインフラとして、医療、教育

である。

で、最初は「水道」である

ローマ帝国の代表である「アッピア水道」というのは、本書によれば、全長16.617キロ、うち地下が16.528キロで、ローマの東に連なる山地からローマ市内まで、延々と引いたもので、この距離を、当時、水道を引こうというのは、よほどの理念というか執念がないとできそうもない。おまけにローマというのは水資源はかなり豊富だったらしいから、同じように水資源の豊富な日本の住む管理人としては、わざわざなんでそこまでやるの、とツッコミをいれたくなるような代物である。

この「アッピア水道」以外にも「ユリア水道」やら「アルシエティーナ水道」やら「クラウディア水道」やら何本も水道を建設しているから、こいつはもう「道」や「橋」と一緒で、とにかく「繋ぎたい」という民族的な衝動なんだろうか、と非合理的な理由で片付けたくもなる。

ローマの五賢帝のうちアントニヌス・ピウスとマルクス・アウレリススの時代を描く巻の間に挟まれるようにして置かれているのが、この「すべての道はローマに通ず」の巻である。

ローマ帝国は、マルクス・アウレリウスの死後、その力を衰えさせていくのだが、その要因はマルクス・アウレリウスの時代に既に仕込まれていたといえなくはないので、いわば、ローマ帝国の物語の上り坂と下り坂のちょうど中間、峠のようなポジションで描かれているのが、この「すべての道はローマに通ず」の巻といっていい。

で、何が描かれるかといえば、人物ではなくモノ、「インフラ」である。当然、「インフラ」というのは、自然発生してくるものではないので、それをつくる人、つくるように計画した人はあるのだが、主役は「インフラ」である。いや、これも正確ではないな。「インフラ」にシンボライズされた「ローマ人の精神」とでもいうべきだろう。


この27巻では、そのインフラのうち

街道

といったものがとりあげられていて、インフラのうちでも、まあデカイものだ。

今、売れっ子の経済評論家である勝間和代さんの知的体力アップを図るノウハウと考え方が満載された本である。

こうしたビジネス本の効用の一つには、著者のパワフルさが読んでいるうちに伝染してくるっていうのがあって、
そうした伝染力が強ければ強いほど、読後は、「よし、俺も」っと元気がでるっていうことがあり、この本もそのパワーを十分秘めております。

「捨てる技術で大切なのは「Not to do list」を「つくること。すなわちやってはいけないことのリストをつくること」といった発想の転換に気づかせてくれたり、インプット力やアウトプット力を高める具体的な技術が、キチキチと提案されていたりとか、(「○○を高める6つの技術」とか「▲▲を見極める5つの方法」とか、なんとなくコンサルタントと話をしてきるような気分になるのは、著者の商売柄かもしれないが)、なんとなく勉強の凄くできる生徒会長から、勉強法を懇切丁寧に教わっているような気持ちになってくる。

なかには、ちょっとデジタル依存なんじゃない、と思ってしまったり(オーディオブックはそういった意味で、まだ、私にはなじみが薄いんだよな)、「本を読むときはスピード最優先で、線引きやまとめ書きといった面倒なことはしない」といった、おいおい、頭の良い人はいいけど、それじゃ俺らは頭に残んないんだよね、と思ってしまうところがないわけではないのだが、総じて、ふむふむ、これは良いですよね、といったアイデアと使えそうなノウハウが満載である。

著者も「1%の本質を見極める5つの技術」の一つとして「本代をケチらずに良書を読むこと」とおっしゃっておられることでもあり、ここは千円札2枚と割り切って購入して、ワシワシ読んだ方が得だと思う一冊である。

元ソフトブレーンの創業者で、辛口の経済評論の宋 文州さんのメルマガをまとめた著作。

宋さんのコラムはNikkeiBPにも以前連載されていて(「宋文州の傍目八目」)、まだいくつかは読めるので、興味ある人は読んでみるとよい。
著者は名前で推測できるように、中国籍で、日本に留学したのが縁で、日本でビジネスを始められたのだが、その経歴と日本人の思考スタイルにどっぷりと浸かっていない、そのくせ日本人の思考スタイルを、どうかすると普通の日本人より理解している評論は、辛口ながら教務深く読める。

本書は、2004年から2006年までのメルマガをまとめたもので、宋氏自身もソフトブレーンの取締役を辞任したりしているのだが、世間ではホリエモンや村上氏などのネットバブルを謳歌した人たちが凋落した時と重なっていて、日本のネットバブルのまっただ中にいた人の証言禄として読んでも面白い。

で、いくつか印象に残ったフレーズを引用すると

「我々が他人に言われるから努力するケースは、ほとんどない。努力したい時に努力しているだけである。努力したくなるような環境をつくることが、上司や親ができるせいぜいの「努力」である

とか

他人がまだやったことのない新しいことをやり出すとき、いくら正しいこと、価値のあることであっても、すぐ理解される保証はない。初期段階ではむしろ誤解されたり、白い目で見られてりすることもよくある。開拓精神やベンチャー精神といえば聞こえはいいが、実行する人には大変な信念と勇気と忍耐が必要である。

新人のゴミ拾いと大声挨拶はこのためにある。正しいことだが、恥ずかしいし、泥臭い。それを抵抗なく実行してしまうのは、ベンチャー精神であり、引っ込んでしまうのは大手病である。

とか

いわゆる「統制」がとれている会社や、「戦闘力」あある会社ほど選択肢と柔軟性がない。そんな会社は変化した社会に適応できなくなるとトップが焦ってくる。「変化!変化!」といくら呼びかけても変化できない。社員の多様な選択肢を許し育てない組織の脆さである。

などなど。

ベンチャー企業の経営者らしく、変化と多様性に信頼を寄せている論調で、閉塞感のある時のビジネス書として読めば元気が出る。

最後に、この人の人生へのスタンスを最も現しているな、ともった一文を紹介してレビューの〆としよう。

「群れない。こびを売らない。傲慢にもならない。しっかり自己を持つ」

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