2009年9月アーカイブ

どんな鍵でも開けてしまい、以前は怪盗と呼ばれた「僕」こと有馬次郎は、ひょんなドジから嵐山の奥に位置する大非閣千光寺の寺男になって、堅気の生活を始めている。ところが、どうも事件に好かれているのか、知り合いが悪いのか、京都新聞の文化部の記者で、トラブルメーカーの気のある折原けいが持ち込んでくる事件に巻き込まれて・・・、といった感じの、オーソドックスな設定ともいえる御当地ミステリー。

収録は、
「不動明王の憂鬱」
「異教徒の晩餐」
「鮎躍る夜に」
「不如意の人」
「支那そば館の謎」
「居酒屋 十兵衛」
の6篇

ところが、北森 鴻氏の手にかかると、御当地ミステリーも、普通の御当地ミステリーとはちょっと違った風味が漂ってくるのが不思議。

町角でふと目にとまった、ちょっと不思議な料理を紹介していきたい。

といったところから始まる、ちょっと変わった食物記である。
とりあげられる食べ物屋が、やはり東京が中心になるのは、筆者の住居と活動の中心がそうであるせいもあるのだろうが、やはりそこは「首都」の威力というもので、人やモノが集まれば集まるほど、妙な食べ物も集積してくるのは人の世の常なんだろうが、本書のエライところは、「不思議な料理」の食物記であって、ゲテモノの食物記になっていないところだろう。

料理は、東京・日本橋の「ドイツ風ライス」からはじまるのだが、「ハムカツ」(東京・上野)や「マカロニグラタン」(東京・浅草)、「カニヤキメシ(東京・人形町)など、名前をみればおおよそ察しがつくのも多いのだが、「ず丼」(東京・新大久保)や「イタリアン」(新潟)、「すじ玉丼」(神戸・三宮)、さらには「セイロンライス」(大阪・西心斎橋)、ナポリライス(東京・銀座)などなど、何を食わされるのかちょっと心配になってくる料理も数々あって、一種怖いものみたさの欲求も満たされる食物記である。

筆者手書きのイラストも味があって、少しばかり暇な時、暇にあかせて、ぱらぱらと読んでいくにお薦め。

(最近、御当地グルメで定番の「佐世保バーガー」などを含んだ「九州篇」も入ってます。)

北森 鴻のミステリーの魅力は、謎解きのほかに、登場人物のユニークさと料理といえるのではなかろうか。

この「メイン・ディッシュ」はそのどちらも、というか、登場人物は、劇団・紅神楽の看板女優の紅林ユリエこと「ねこ」と彼女の家に転がり込んできた居候の三津池修こと「ミケ」、劇団の代表の一人で座付役者の小杉隆一(彼は途中で、推理作家に転業する。まるで、作者の分身のような存在だ)といった面々はもちろんユニークなのは間違いないのだが、随所随所にでてくる、ミケさんのつくる料理が、また旨そうでたまらないという、表題そのものを体現したミステリーである。

とはいっても、ありきたりのグルメ・ミステリーではない。大きな筋立ては、「ねこ」さんの劇団周辺の様々な事件と、「ミケ」さんがなぜ風来坊のような暮らしをしているかの謎が、絡まりあって進展する凝ったつくりのミステリーで、構成は

長く、長く続いてきた「ローマ人の物語」もこれが最終巻である。そして、千年以上続いてきた、ローマ帝国も、この巻で終焉を迎える。もっとも、東ローマ帝国(ビザンティン帝国)はこの後も存続するのだが、これはもう、いわゆる「ローマ帝国」とは異なるという説に私も賛成したい。

この巻では
・紀元395年~410年までが「第一部 最後のローマ人」
・紀元410年~476年までが「第二部 ローマ帝国の滅亡」
・紀元476年~が「第三部 帝国以後」
という構成で、西ローマ帝国が瓦解するまでが語られる

しかし、この時代のローマ帝国をめぐる人々の名前が、なんと蛮族的なことか・・・。敵である人は当たり前だが、帝国を支えた人の名前すら蛮族的なのだ。
典型的なのは、皇帝テオドシウスから、死後の息子を託された将軍スティリコであろう。
彼は、ヴァンダル族出身なのだがテオドシウス帝に抜擢され、彼から、若年の皇帝の後見を頼まれるのだが、その彼が、ローマ人よりもローマ人らしく、ローマ帝国の存続に力を尽くし、非業の最期を遂げるたあたりは、衰えた国家を象徴するものなのだろう。

1

ウェブページ

にほんブログ村 トラコミュ 書評、レビューへ
書評、レビュー
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
Powered by Movable Type 5.04

このアーカイブについて

このページには、2009年9月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2009年8月です。

次のアーカイブは2009年10月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。