塩野七生 「ローマ人の物語 23 危機と克服〔下〕」 (新潮文庫)その2
この本で、印象に残った言葉たち
ローマがあれほど長命だったのは、ローマ人が他民族を支配したのではなく、他民族までローマ人にしたからだ。
ローマ史とはリレー競争に似ている。既成の指導者階級の機能が衰えてくると、必ず新しい人材が、ライン上でバトンタッチを待っているという感じだ。
権力者が権力を保持し続ける要因には、その人に代わりうる人物がいないからやむをえず続投してもらう、である場合が少なくない。言い換えれば、後継者難のおかげで、機能不全に陥った既成の支配階級でもあいかわらず権力を保持し続ける、という状態である。そしてこの結果は、衰退を止められなくなったあげくにやってくる、共同体そのものの崩壊だ。つまり、バトンタッチする者がいないために走り続け、ついにはトラック上で倒れて死ぬ、という図式である。

